古典を読んで考えるブログ

東洋古典を中心に読んでいって、日常起こる出来事とつなぎ合わせて考えるブログです。

其の人となりや孝弟にして ~人間らしく生きる秘訣

有子曰く、其の人となりや孝弟にして上を犯すを好むものは鮮なし。

上を犯すを好まずして乱を為すを好むものは未だこれあらざるなり。

君子は本を務む。本立ちて道生ず。

孝弟なるものは、其れ仁を為すの本か。

 

【解釈】

年長者を敬い、他者に敬意を表するような、秩序と調和を愛する人柄であれば、上の人に好んで反抗するようなことは少ないものです。

上の人に好んで反抗しないような人が、現場の秩序を壊してめちゃくちゃにしてしまうことはありません。

立派な人というのは根本を押さえて、そこに注力します。根本がきちんとして、そこから筋道が立っていくものです。

年長者への尊敬、他者への敬意というものは、それは人間同士が支え合い、慈しみ合って人間らしい生活を行っていくための根本と言えるのではないでしょうか。

 

会社の現場では何でもかんでも「おかしい」と否定したり、食って掛かるような人もいます。なんとなく最近はイケイケドンドンで若い新しい考え方がいいんだ、という向きもあるかもしれません。

しかし、長期的に見れば無秩序や混乱が生む弊害は全員を不幸にします。

アラブの春のように、破壊は何も生みません。イスラム国の映像やシャルリーエブドの襲撃をみても、主張はともかくやっている行動がおよそ人間的なあり方とはかけ離れてしまっているように思うのです。

 

無秩序は全く何も生みません。人を苦しめるだけです。

昔の国鉄労働組合や、今のリビアからの難民を見ても、混乱極まる前に、なんとか秩序を回復しなくては、まさに筋道が立っていかないということでしょう。

イノベーションを生んでいくためにも、自由な雰囲気を作りつつ、年上・年下、先輩・後輩をお互いに尊敬し、統一感を持った組織を作ることが進歩向上発展には必要だと思うのです。

 

ただ、仁が大事とか支え合いが大事、といったことを言っても抽象的でよくわかりませんし、どんな人を採用したらよいのかもはっきりしません。

そこで有先生の提案は、他人を尊敬し、自分の役割を知り、秩序と調和を重んじる人を選ぶことが肝だよ、ということです。

この人たちが全て上に従順だというわけではなく、あえて逆らうことを「好まない」、ということですから程度・性向の問題です。

 

なかなか考えさせる文章です。