古典を読んで考えるブログ

東洋古典を中心に読んでいって、日常起こる出来事とつなぎ合わせて考えるブログです。

其の安んずる所を察れば、人焉んぞ廋さんや ~人物を見る三つの視点

最近、殺人的に暑いようです。今年は記録的な猛暑になりそうですので、身体には十分ご注意ください。

 

子曰く、其の以す所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察れば、人焉イズクんぞ廋カクさんや。人焉イズクんぞ廋カクさんや。

論語‐為政二‐10)

 

【解釈】

孔子が言うには、人を知る方法は三つある、あるいは三段階で分かる、といいます。まずはその人の行いを見ること、そして次にその行動の理由、よって立つ処を観察します。そして最後に、その人がなぜそのように考えるのか、何に満足を覚えるのか、そもそもどういう姿勢で物事に取り組んでいるのかを見れば、人は自分を隠し通せるものではない、必ずどこかに本質が現れるものだね、という風に仰います。

その人の行動、その動機、そしてそもそもの姿勢。この3つを意識して分ける事、そしてきちんと見分けることが人物を見る上では重要ではないでしょうか。

 

さて、今回は先日の学而編の最後、「人を知らざるを憂うるなり」に対応する部分で、いかにすれば人を知ることができるか、を教えています。よく考えれば、「あいつはあれだけの奴だ」とか「あいつは凄い」とかいうのは簡単ですが、いざ採用したり信用したりする段になると中々確証が持てないものです。人を見るということは実に難しいですよね。

それに対する孔子の答えは比較的に詳しく、明確なものです。上っ面の行動だけで判断してはいけない。その下にある動機、またもっと根本的にはその人間の物事に対する姿勢を見極めるようにせよ、ということです。依存型でなんでも他人のせいにしようとする人は原因を外に作り出します。自分が責任を負いたくないからです。自立型で責任を引き受けるような人間は、物事がうまくいかない理由を自分の中に求めます。姿勢次第で物事の原因まで変わってきてしまうのが人間というものでしょう。

不況の中で「環境が悪い」「取引先が悪い」「従業員が悪い」と不平不満を並べるのも人間、「自分が悪い」「どうやったら改善できるだろう」「こんな中ついてきてくれている従業員に感謝せねば」と感謝するのも人間なのです。

 

またここで重要なことは、事実ベースできちんと観察するということです。まず行動を見る。印象で決めない。そしてその行動をベースに、どうしてそういうことをするのかということを観察します。非常にフェアなやり方ではないでしょうか。